-マンガの主人公

Real Clothes 1 (クイーンズコミックス)

Real Clothes 1 (クイーンズコミックス)


実家にて妹のマンガを読む。これはデパートに勤める主人公が、花形の婦人服売場に異動したことをきっかけに、ファッションアイテムのプロバイダー側としてはじめは何もできないところ持ち前のガッツで徐々に力をつけていく(だろう。まだ2巻しか出てなくて、とうてい完結していない)という話。面白かったけど、別にこのマンガをおススメしたいわけではなく、このマンガの中に私が広く業界若手に期待したいものがあったので紹介してみます。
とにかく、主人公は考えるのです。どうしたら売れるかな、このお客さんは何を求めてるのかな、とか。たとえば、既製服の販売のため何かゼロから作ることはないのですが、マネキンに売り場の服をコーディネートしてディスプレイを作る場面が3度あります。1回目は売り場内の人間関係の考察から自分に求められる芸風を考慮して作る。これは売り場内でそこそこ好評にて達成感を得られる。2回目は日々量産している中で上司の目にとまるも、完成度について叱咤される際、自身の軸のブレを指摘され落ち込む。3回目は上司の指摘を反芻する中で、状況観察の中から気がついて工夫を実行してみたところ、意図が的中して狙った売りが立つ。
いやさ、みんな考えてる?このマンガに限らず、よくもまあマンガの主人公達はよく考えているわけですよ。DEATH NOTEを読んだことがある人ならわかりやすい。目の前の敵(?)がどういうことを言うか、次にどういう行動するかと、何手先までも読めるかぎり読む。さらには自分の施策を織り込ませて相手をコントロールしようとまでするのです。これをエンターテイメントとして消費して終らせてもいいんだけど、こういうことって日常にもたくさん状況ありますよ。私の場合について言うと、性格に雑なところがあるので毎回ライト君みたいにはいかないけど、結構役割としてアレをやらにゃならんことがあります。SIの商談なんて特に一発で金額動くことあるからね。アーキテクチャしかり、実装しかり、テストデバッグについてだって、考えなきゃ。
マンガはおよそ、主人公が適切に考えてるとちゃんと話が展開していくのです。逆に考えるのを怠ったり、なんか間違った方向に思考が向くと、障害にぶつかるようにできている。読み手にもそのほうが納得性高くなるから、作家もそうするよね。特に敵もよく考える場合には考えただけ適切な流れになる。一方でデトロイト メタルシティにみるような主人公だけ考えていて、あとは何も考えてない世界というのもあるね。クラウザーさんが考えてても空転しまくりなんで可笑しくなっちゃうし、壁にぶつかってばかりなのだけど。しかし、もしその世界観の中で生きているとしたら、あなたは観客席で何も考えてないでファックファック言ってるオーディエンスの一人なんじゃないかな?違うならいいんだけど。