-ビジネスモデルフリー(前編)

ここしばらく、iPhone/iPod Touchの受託開発について引き合い多くいただき、様々調査&提案&実装を行って来ていたのですが、最後の最後まで表玄関からも裏口からも情報とれなかったのは、AppStoreに掲載する際のNG要件でした。ウィルスや自殺幇助やキッズポルノなんかの反社会的なものは当然ダメだろう(積極的にそういうのはNGにしてもらいたい)という他、たとえばFirefoxのモバイル版やFlashPlayerがNGらしいという都市伝説?風な情報が錯綜して、何がOKで何がNGかということに確信が持てなかったのです。
AppStoreでのアプリケーション購入方法では、ソフトウェアコピーの対価としての課金しか今のところありません。たとえばボンバーマンを\900で購入すると追加費用無しにいつまでも遊べるはずです。一方で昨今のソフトウェアはコピーを配布し対価を得るという形態だけでなく、サブスクリプションモデルと呼ばれるような、一定期間経過毎に会費として課金を得るような仕組みもあります。こちらは既存のモバイルキャリア公認のサービス群はキャリアが月々の通話料と同時に月額のサービス利用料を代行回収してもらう形態です。しかしAppStoreには「\900/月」などの価格表記はなく、APIにもサブスクリプションのアクティブ状況をAppleから得るようなものが見当たりません。また、ソフトウェアのコピーの対価ではなく、サービス利用によるトランザクションに対して課金する形態も世の中には存在します。オークションのサイトはその売り買いトランザクションに手数料として課金しますし、オンラインバンキングでは振込を行うと手数料が課金されたりします(銀行の別や口座種類の別にもよりますけど)。こちらもAPIトランザクション毎の手数料請求をAppleに代行してもらうようなものが見当たりません。
サブスクリプション月額と発生取引手数料の回収をAppleがAppStoreやiTune経由で行う仕組みを作っていればこれまたすごいことになったかなとも思うのですが(今後でてくるかもしれませんけどね)、今は無い以上、これらビジネスモデルをiPhone上に展開するには自前で課金管理を行わなければいけません。ソフトウェアコピーは無料で配るけど、利用するには別途契約が必要で、課金が発生するというもの。こういうビジネス&売上回収をゼロスタートで作るのは難しいのですが、すでに仕組みが構築されていれば別です。アマゾンがiPhoneクライアントアプリを作りWEBブラウザ経由同様に本が買えるようにするとか、ロイターがiPhoneクライアントアプリを作って高い情報料を毎月請求して投資情報を見せるとか。アマゾンもロイターもAppleに頼らずとも売上回収の仕組みがすでにあるので、実現は何も考えなくてもすぐできそうです。(中編につづく)