-会社理念

最近の会話の中で「構造資産」という言葉が出てきた。私は初めて聞く言葉だったのだけど、文脈から意味もわかったし、その後も突っ込んで普通に議論できたのですが、その中で「人的資産」という言葉で反論もしダメ出しもしていました。後でWEBで調べてみたら、適当に話してたのにばっちりかみ合ってたのには驚いた。構造資産は特許だとかビジネスモデルなどのように、企業に利潤をもたらす見えないけどそこにあるモノを指すようです(このへん雰囲気)。人的資産は自分自身を含めた会社の構成員の資質や企業文化みたいな人間に根ざすところ。知的資産を形成する残りのひとつは関係資産というようですが、ここでは今回の話では割愛気味で(その指すところはメインバンクとの実績とか市場の評判のような、会社経歴に根ざすようなところかな?)。
さて、社長のタイプとしてね、究極の選択として「構造資産」を好む人と、「人的資産」を好む人ってタイプがわかれるんじゃないかなぁと考察したわけです。私は後者なんですが、おそらく半数以上の企業では、どちらかというと構造資産の構築のほうを好んでいるのではないかと思います。数字的な根拠はないですがこれまで会ってきた、少なくは無い社長sを思い出すに。チャリンチャリンと金の落ちるサービスとか、ビジネスモデル特許とか、有力なパッケージ製品とか、そういうのを模索して、それをウチの開発力で実現するために相談に来てもらうことが多かった。ウチとは関係ないですが、そうでない次点では、資本系列や安定顧客といった仕事の絶えない仕組み(関係資産に分類すべきか)。このへん段々怪しい議論になりますが、派遣的なビジネスを積極的にやるのも個人を見ない仕組み商売な点で、構造資産好き(もしくは関係資産重視)なのだと思います。デスマばっかりやってても、なぜか莫大な売上があがる構造も実はあるようです。
そんな中、私はグルージェントもネットやOSSを含む私的な関係も、人的資産絶対で構造資産を比較軽視してきたと気がつきました。街の工務店風なSIerとしてやる中、派遣は断るし、開発完了後の月次サポート契約もよほど相手に私個人的な義理でもなければ基本的にはやんわりと断ってきています。ハードウェアのオリジナル製品を作ったこともあるけど、それもすぐ手仕舞いしちゃったし。毎年顧客リストは全とっかえで、昨年の売上と今年の売上は相手先がまったく違いました。99年創業からもう8期終えましたが、8期通じで発注いただいてるという顧客はただ1社ですし、そこも最近は昔に結んで続いているサポート売上です。一方で社員たる技術者は出入りはもちろんありましたが、8期で通算29人、現在16人在籍です。率としたときに世間水準と比べてどうかはわかりませんが、周囲のウチをよく知る人からはとても社員定着率が高いように聞いていますし、個々の技術力で侮られたことは、たぶん無い。ま、本当に私が技術者を大事にできているかはともかくとして、究極の選択ではビジネスチャンスや顧客を捨てて、技術者を取ってきたメンタルが影響しているように思います。
ただ、社長としてはどちらかというとたぶんダメなんだ、このメンタル。会社は儲からないし、売上が安定しないから人も多く取れないんですよ。会社のビジネスがデカくならず結果金持ちにもならないよね。じゃあ人的部分は無視してうまくいくかと言うと絶対そうではないと断言できますけれども。よくあるプログラマーの幸福論として言われること(BLOG界隈で見るのは大抵お子様でどうしょうもない話ばっかだけど)を考えたとき、もしかしたら社長が構造資産への関心が乏しくて人的資産命な性格じゃないと、幸福チェックシート項目につけるマルは増えないんじゃないかな?ただし、マルはたくさんついても、ひとつだけどうしてもマルがつきにくいところが有るようです。「お金」は人的資産無視しても構造資産を重視している会社のほうが期待できるかもしれない。派遣中心だったり、昼夜となく激務に働かされる会社というのは、たぶん人的資産より構造資産に目が行ってる会社なんで、ハッカーハッピーとしては点が低くても、こと金の話だったらそうでない会社より優遇されているんじゃないかなと(そうでもなければ、社長は大金持ちだね、きっと)。ということで、顧客第一主義で、従業員がハッピーというのはなかなか貴重な話じゃないですかね。
そんな一方で負け惜しみを言ってみる。そんな構造資産も人的資産も両取りするよんなんて言う経営理念は口先だけのなんじゃないかな、と斜めに見てみる今日この頃です。たぶん、顧客第一は本物だけど、従業員は取替え可能な機械ぐらいに思ってるほうが普通なんじゃないかなと。そうなれたら金持ちになれるかなと思いつつも、私はいきなりキャラを変えることもできないので、今後も人的資産を手厚く考えながら、何かビジネスモデルでも開発してみますよ。3年ぐらいかけて。