-虎の城

虎の城〈上〉乱世疾風編 (祥伝社文庫)

虎の城〈上〉乱世疾風編 (祥伝社文庫)


移動中、活字が切れたので駅構内の書店で平積みを物色していたら、かなりのアオリがあったので買ってみました。「司馬、池波、隆慶一郎、巨峰に迫る傑作」って最後がちょっとマニアックじゃ。。。戦国武将藤堂高虎の一代記で、私が今読んでるのは、2冊組みの2冊目の途中、関が原が終わって江戸城作ってるところです。藤堂高虎はだいたい歴史小説では脇役で、あっちにこっちにチョロチョロしているチョイ悪なイメージなのですが、実は業績がとにかくすごい(Google先生の聞きかじりです)。190cmの体格をもつ歴戦の武闘派でありながら、国家規模の大土木工事といえば必ず出てきてプロデュースし、当主が急に死んだりして傾きかけた大名家があったら人事や台所の建て直しにプロジェクトチームを組織して送り込み、結婚式があったら盛り上げる。この虎の城でも、政治的に難しい動乱期に生き残るため、辣腕プロデューサーとして祭りを仕切ってのし上がっていく様子が描かれています。
小説としてはちょっとマジメな感じで、もし司馬作品だったらあまり歴史に登場しない脇役が出てきてネチネチ高虎をいじったりするんだろうなぁとか(大工の娘で修験道に通じてる高虎の妾、後に石田三成とくっつく女性が司馬的にはおいしいと見たw)、池波作品だったら2冊組みじゃなくて5冊組みぐらいでやるだろうなぁとか、隆慶一郎だったら本能寺の変で信長斬ってたり(漫画へうげものでは秀吉がやってますね)するんだろうなぁと。ちょっと淡白な感じです。それだけにさらっと読みやすいですけどね。結局、けっこうおススメ。
火坂雅志は2009年NHK大河ドラマの原作「天地人」の作者。再来年までもう決まってるんですね。