-我々がやるべきこと

私は自分ないし、自分の会社、もしくは自分に近い「我々」と称すべき集団がすべき事業や行動について、おそらく3つのどれかの性質を持つべきものになるのではないかと考えています。

  • 他人のやれないこと
  • 他人のやりたがらないこと
  • 他人の思いつかないこと

実は、3つになったのはつい最近で、しばらくずっと先の2つだけでした。「我々」はソフトウェアを書くことを仕事の中心としています。付加価値もそれにともなう金銭もすべてソフトウェアに関係している。そしてこれは確信もって言える事は、それはごく少数の人間にだけできることなのです。プロとして通用するソフトウェア開発力を追求するというのは、素質も必要だし継続的な努力も必要となってきます。日本に数十万人の業界従事者が居たとしても、その可能性を持つのは実はごく少数なんじゃないか。全世界60億人以上いたとしても、その何%がプロのプログラマーたりえるのか、と思いたい。仮説が正しければまさに「我々」は他人のやれないことを選んでとりくんでいます。また、省略しますが、ほぼ同様な仮説検証によると「我々」は他人のやりたがらないことをやっている。
スコープを大きく話すと以上のとおりですが、もっと具体的なソフトウェアの内容を吟味したり、ソフトウェア開発に従事して収益を得る仕組み(ビジネスモデル)を選択する際にはより詳細な分析と判断が必要になってきます。オープンソースを選択したり、Javaだったり、業務アプリケーションだったり、人月を売る受託開発だったり、WEB2.0ブームに乗ってみようかと思うのも。スコープ絞って自身の近未来に進むべき道を探るとなると再度、これは自分だけしかできないことなのか、自分だけがやりたがることなのか、考える必要が出てくるのではないでしょうか。そして、そんな中、忽然と自分だけが気がつき、考えているのではないかと確信する(残念ながら大抵は強く思い込むことによる錯覚でしょうが)方に目が向く必要があるようです。


グルージェントという会社は8年やってますが、その会社経歴の中ではハードウェア製品を製造販売したり、OEM向けパッケージ製品を企画したりとベンチャー風な見かけも持ってきました。しかし誰もが容易に思いつきそうなことしかしてこなかった自信があります。ベンチャー企業のふりをしながらこっそり手堅くやってきたわけですね。おかげで今は小停滞しながらも財務も健全で社員みんなの質やモチベーションもほどほど高いレベルで安定しているように思います。でも?それで?
SeasarファウンデーションというOSS開発者コミュニティは私は3年ほど関わってますが、すくなくとも規模は日本最大級のコミュニティと成長しました。他に類似モデルを探してもなかなか見つからない様子です。しかし誰もが容易に思いつきそうなことしかしてこなかった自信があります。最先端なふりをしながら実はあれやこれや、いろいろ何かのパクリなわけですな。でも卑下することはなく、コミュニティ概念やOSS概念についてはとかく浸透していない時期に、できるかぎり分かりやすい姿を見せ続け、受け入れる世論の熟成を待ちつつ、ほどほど高いレベルまで姿を変えずにひっぱったことは結果論としても賢い戦略だったんじゃないかと思います。でも?それで?


今後はこれまでの蓄えを使い切るぐらいの勢いで、他に先行する新境地を切り拓くことに価値を見出してもらえるようにしていきたいと考えています。会社もコミュニティも。そのほうが面白いんじゃないかなと。ヌルく考えない毎日じゃなく、一瞬のひらめきを逃がさず捕まえて、しつこく追いかけて、磨き続けるようなやり方でやってもいいんじゃないかな。
少なくとも私と私のごく身近なところであれば3年ぐらいはリスクをとり続けることが出来る体力が身に付いたようです。