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BayPOS, Incがはじまるまでの個人史を振り返ってみた

news.mynavi.jp

www.nikkei.com

5/18のプレナスおよびサイオス両社の取締役会にて、レストラン向けITシステム開発と販売を行う米国法人「BayPOS, Inc.」の共同出資による設立が承認されました。資本$2M、サイオス49%です。直前の4/28〜5/17には、この発表された会社の設立とITシステム開発を先行着手するために、日本および台湾に出張していました。具体的な目標が定まったいま粛々とプロジェクトを進めていくだけなのですが、それまでの私は長らくの迷走期間の中にありました。そのへん、流行りの意識高い系風に振り返ってみます。

承前、〜2013年秋

2008年2月にグルージェントがサイオスグループ傘下となり10月にサイオス執行役員を兼任しました。はじめはグループのSI事業担当でしたが後にはクラウド(=Google Apps)の事業を見はじめています。そんな中、2010年ぐらいから、SIを業として技術的には尖りながらも小規模低収益企業に甘んじて活動していたグルージェントにクラウド事業を再編集約する形で、グループにおける事業効率の向上とグルージェントの未来作りの一石二鳥を目指しました。Google Apps周辺の独自サービスを開発提供して事業化することがほぼ3年の不況下&投資先行によるグルージェント赤字決算期を経てでき、グランデGoogleへも大巨人ソフトバンクテレコム(当時)へも噛み付いてオシッコひっかけたり握って尻尾ふったりした後に、いよいよ事業転換した上での黒字化が見えてきた段でひとつの区切りが得られます。そうして改めて周りを見渡してみると、業界の潮流やサイオスグループの課題および自分自身のライフプランについてたまたまいろいろ思うところがでてきたのです(単なる錯覚でしたけど)。1999年に27歳でグルージェントを創業して15周年も近くなってましたので、何をやるにしてもそうたくさんは今後にチャンスメイクできないかなとも思うし、41歳で同じような経験の質と量をもってる人もそう沢山はいなかろうという風に思えたので、なんとなくですが新フェーズとして次の15年はやってみようと。この思いに偶然が重なり2013年11月にGlabio, Incを米国法人として設立。資本$500k、サイオス100%の会社です。2014年2月にはグルージェントも代表権の無い取締役 相談役にステップバックしました。その後のグルージェントは私がいなくなったこともあって私が仕切ってた時代以上に業績を伸ばし続けます。

迷走開始、MBaaS、2013年冬〜昨夏

Glabioを設立しましたが、長年のグルージェントの社長業の中にはパートナーシップという名の貸し借りがお付き合いする会社や個人それぞれに堆積していて、先送りしていた問題なども仕掛り中のことも整理しなければならず、さらには米国の就労ビザが下るまで時間もかかりました。その後多くが解決した後、2014年6月に渡米した私ですが、Glabio設立当初に企画していたMBaaSを作ってモバイルとクラウドの間に戦術参加するという方向は、既にIT業界の支配者達が先行サービスを立ち上げた上で追加投資し続けていたため、たとえばOSSでちょっと賢いミドルウェアを作るというのであればいくらでも隙間があったとしても、事業として売上$10Mや$100Mを実現しようというところは徒手空拳感ありありで挫折し、昨秋を迎えるころにはピボットをしていました。Node.jsでいろいろやってたり、Go言語を書いたりしはじめたのはこの時期です。

オウンドメディア、昨秋

とある筋からオウンドメディアを素早く直感的に立ち上げていつも持ってるiPhoneで記事が量産できるような仕組みを作れないかという相談があったことから、ちょうど同時期に手が空いていた兄弟会社の関心空間のチームと連携して企画検討を始めました。ブログの時系列をたどると丸わかりですが、急にiOS技術関係を触りはじめてたのはこのためでした。技術とアイディアの検討を進めるうちに、機械学習によって自動クロールした世のコンテンツをあらかじめ整理しておき、それらを主題に基づいて機械学習で引き出し、適切な形態で引用しながら記事執筆するようにナビゲーションするモバイルネイティブアプリを作り始めました。高度に専門的と思われる機械学習技術については、兄弟会社の米国SIOSが「SIOS iQ」という機械学習を利用してインフラマネジメントを行う製品を作ってるように、専門家チームが身近にいたので企画段階ではブラックボックスとして先送りしながらも現実感のある計画ができていたのです。しかし開発スタート後すぐ、事業化過程で企画のオーナー格であった筋との調整がまとまらず解散しました。ここで検討したアイディアなどはアトミックには関心空間が今後の活動にて継承していくことになると思います。

MFP、昨冬

昨冬からは、いよいよ空白となってしまったため、再度の事業構想が立ち上がるまでグループの開発を手伝おうということになりました。サイオスではドル箱事業としてリコー製MFP(Multi Function Printer、要は複合機)に内蔵される付加価値アプリケーション製品を開発してOEM提供しています。近年そのMFPにAndroidを搭載したものが本格的に出荷されるということで、製品をこれまでの独自組込JavaからAndroidプラットフォームへ移植するプロジェクトに助っ人参加しました。こちらもブログから明らかなように、急にAndroid技術関係を触り始めた次第です。11月に日本に一時帰国したのはこのプロジェクトの体制立ち上げ支援のためでした。グループ見渡してもJavaは得意ながらAndroid経験者が少ない中でチームは急速にキャッチアップし、かなり厳しいスケジュールの中でも「私以外」は素晴らしい成果をあげて製品を完成させました。「私以外」というのはプロジェクトスタート時の予定では製品完成まで参加するはずだったところ、途中で離脱したためです。プロジェクトには迷惑かけてしまいましたが、私個人的にはAndroidが普通に書けるようになるまで技術習得できました。

レストラン向けITシステム、新年〜

新年に、かねてから懇意の米国プレナスの方の訪問があり、今秋に1号店が予定されるYAYOI店舗のITシステムについて相談を受けました。当時に特に戦略的意図は無かったかと思いますが既に米国プレナスにはサイオスが少額出資していた関係から、自然と唯一在米の私が対応することとなりました。既存IT製品の調達を軸にITコンサルまがいなことを、MFP開発プロジェクトに参加しつつ、行います。しかし調査をすすめる内に特に大規模なレストランチェーンでの独自課題に応える仕組みについてはホワイトスペースだと感じるようになりました。既に世の中にはレストラン向けシステムは膨大な数あるのですが、そのほとんどが家族経営や小規模資本で少数店舗をサポートするものばかりで、数十店舗〜数百店舗の規模のチェーンで採用する(もしくは採用できる)ITシステムではなかったのです。普通に考えるならばそれはSIでのみ対応されてきた市場だったのです。私は在米にて事業創造をするミッションで動いていますのでSIとなれば関わり難く、ここから見つけたホワイトスペースをチャンスとして、専念できそうな事業の検討を始めました。幸いにステークホルダーの様々な懸案と思惑が事業会社設立の方向にまとまったため、私はMFPプロジェクトを離れて事業計画を書き始めました。資金調達を含む合弁スキーム作りについては各方面各位が積極的に動いていただけたので、合意形成が予想外に早く完了しました。

その後3月末には先行着手として具体的な開発プロジェクトの立ち上げを行いました。秋の店舗オープンに向けてまず第一フェーズの製品リリースをしなければならないのに期間も限られますから、好景気で技術者が払拭している御時世にも関わらず、いろんなところから過去の貸しや政治力で強奪結集させる形でスタートしています。はじめはALL日本人でALL日本語です。早晩にBayPOSプロパーを採用してのメンバー国際化と英語化は必須ですが背に腹は代えられない。2005年以来Mayaaのコミッタを押し付けている須賀さんといったグルージェント所属の面々を借受けて、Seasarファウンデーションで知り合って2010年来にはグルージェントのSIや製品開発に常時参画してもらっていたAbbyの米林さん&松原さんも引き込み、初めから10人を超えますが長年の気心しれた関係かつ実力派で固めたチームが組織できたと思います。私はどちらかというとGoogle信者なうえチームからの提案もあったので、端末はlibgdxを検討してAndroidクラウドはGo言語で書きます。このエントリの前の4/1記事の最後に示唆したように、第一フェーズの要件定義には、巨匠:羽生章洋を招きました。このへんもプロジェクト成功の後には事例等で詳しく面白く話せることがあるやもしれません。冒頭のマイナビ記事中の画像はマジカキャラで描かれ、羽生さん率いるAclipper社の手になるものです。

Glabioはビザ発給の関係から無くなりませんが、フルタイム・フルコミットでBayPOSの経営に携わります。手続き的にはメジャーオーナーのプレナス側からパートタイムCEOを出していただいて、COOは現地招聘予定なので、私はCTOもしくはさらに兼ねてCFOかな?タイトルはどうあれBayPOSの経営責任はプレナスグループおよびサイオスグループ双方に対して、もっぱら私が負うことにになります。システムは、モバイル/クラウド/IoT/ビッグデータ/機械学習で業務オペレーションとカネとプライバシーを取り扱うものになり、いきなり北米&アジア複数カ国展開です。両企業グループ的にも参加する各個人的にも、とりわけ私にとって、素晴らしいチャレンジになるのではないかと思います。

雑感

それにしても、ここまでスタートに時間がかかった迷走については大反省ですし、過去の各フェーズにおいてももっと合理的な判断や行動はいくらでもあったように思います。一方で結果としては異国で孤独に無為な時間を過ごしてしまいカネも刻一刻と無くなる中で、周囲の愛に恵まれました。とにかくステークホルダーのみなさんに感謝しています。チャンスいただいてありがとうございます。その上でオレすげーってなぐらいの強靭な精神力で明るく元気に耐え切ったから運を引き込めたのかなと。

ちなみに、BayPOSの名前の由来はダジャレです。米国の「米」、Bay Areaの「Bay」でPOS。開発コードネームで付けた名前でしたが、まさか本当に会社の名前になるとは。