-阿弥陀

大乗OSSシリーズ第二弾です。まだ本願寺にはたどり着きません。「南無阿弥陀仏」と言うことは「念仏」といいます。阿弥陀という仏様を念じるので。一方、「南無妙法蓮華経」と言うことは「題目」といいます。妙法蓮華経という経典の名前を宣伝する行為だからです。念仏を唱えるのは浄土系で、題目を唱えるのは日蓮系の教団です。日蓮系も凄い理論があるのですが、ここでは浄土系の仏様である阿弥陀たるアミダさんに絞って、どんな方なのかお知らせしましょう。


アミダさんはやはりインドの王族です(インドにはいろんな王国が割拠していたんですね)。そのアミダさんは悟りを開くにあたり、マニフェストを公開します。マニフェストはたくさんの条項からなるものなのですが、この中に後に超重要視される条項がありました。自分を頼る者は全員を自分の浄土に連れていく、というものです。これはマニフェスト中でも一番すごいことだと言われ、特に「本願」と呼びます。悟りを開き解脱すると輪廻転生から外れますので、仏様には自分の居場所が必要になります。それを専門用語で「浄土」といいますが、アミダさんが阿弥陀仏となって居るところは「極楽浄土」と呼ばれます。私はそこまで詳しくないのですが、どうも仏様それぞれひとつづつ浄土があるらしい。釈迦仏の浄土もあれば、その他たくさんの悟りを開いた方々毎に浄土はあります。本願を読み解くと、アミダの名を呼ぶもの皆を自分の浄土に連れてきてあげる、と解釈できるようです。これはマニフェストですからめでたく悟りを開いてアミダさんが阿弥陀仏になった以上、本当に実現することとなりました。
南無阿弥陀仏と念仏を唱えれば誰もが極楽浄土に往生できる。これを強く押し出したのが、鎌倉時代の法然という人で、彼の宗派を浄土宗と呼びます。凄いですよね、信じるものは救われる、というまさにそれ。でもだまされちゃいけないのは、往生は解脱ではないのですよ、いいでしょうか。悟りを開いて解脱することが個人的な最終目標としてますが、浄土に行くだけでは悟りは開かないのです。あくまで移動ですから。しかし、この汚れた現世よりは、清浄な極楽浄土に滞在し阿弥陀仏の足元にて過ごせるのであれば悟れる可能性は相当高まるものだ、という風に信じられています。つまり悟りの手前に往生を目標として再設定したことになります。目標への道程をちょっと刻んで敷居を低くしました。その後、さらにいろいろ論考が進み、法然の弟子である親鸞は当時の仏教界において革命的なことを実現しました。それは結婚です。
僧侶は戒律というものに縛られ、妻帯肉食とかダメなことが多いのです。しかし、阿弥陀仏を信じればいいだけなら、戒律はあまり関係ないのでは?と言っちゃった。これが浄土真宗です(このへん超ダイジェスト。これをすべてだと思うと、真宗の関係者の方に怒られちゃいますので、あくまでOSS総論に持っていくための「方便」としておいてください)。そして結婚して子供を作ります。
上座部仏教にあるような修行によって悟りを個人的に開くものと異なり、大乗仏教は個人ではなく社会であったり、弱者をまとめて救済することを目指しているのですが、その中でも浄土系はまさに大乗の中の大乗。自分で積極的な行動を起こすのではなく、他人(阿弥陀仏)に助けてもらうことを期待するということです。これを「他力」と言います。阿弥陀の本願に関わるから「他力本願」。ほら、よく聞くことでしょう。浄土真宗では特に他力本願であること以外を認めず、いわば他力原理主義なのです(ヤバイ、本当に怒られそうw)。


さて、ここでOSSです。そしてフリーライダー論。結論から言ったら、大乗OSSではフリーライダー歓迎なのです。絶対フリーライダーとか、フリーライダー原理主義とは言わないけれども、OSSの真の利益を追求するためにはフリーライダーであるべきなのです。だって、OSSの利点は「ソースがオープン」だから「無償/無料」で「ベンダーロックインされず」にシステムのTOCが削減できるって言ってるジャン!ほら、言ってるだろコラw!で、「フィードバック」だの「貢献」だの言われると引いちゃうんだよね?いいんです。それでいいんです。あなたはフリーライダーのままでもいいんです。皮肉でもギミックでも無いし、あとでどんでん返しもありません。フリーライダーこそが正しいOSS道なのです。繰り返す、「フリーライダーこそ最高ROI実現」。
Seasarプロダクツを利用する人はサクッとサイトから最新バイナリをダウンロードして、普段のSIビジネスを成功してくれればいい。お礼なんて無理に言う必要はなし。バグを見つけても、できればフィードバックしてもらいたいけど、しなきゃならない義務は無い。機能やドキュメントなどへの要望は言いっぱなしでOK。しかしそこで一点注意。Seasarプロダクツはいいものだと信用しなければならないのです。そしてASLで配布されていますから成果物の再配布時に条項該当する場合は「Seasarファウンデーションの著作物を使ってます」とどっかに書いておいてください。まあ、再配布条項に引っかかるようなことは日本のSI現場にはなかなか無いでしょうから、事実上義務なしです。そうです、Seasarプロダクツを信じて使えばコードを書くのも楽チンで残業が減るのです〜♪Tuigwaaだったらコードも書きません。より幸せ度が高まります。そして究極大乗的にはSeasarプロダクツを使わなくてもいい。Seasarを信じなさい。無料のSeasarConに気が向いたらふらっと来るだけで幸せになれます。休みの日に出かけたくない方はたまにSeasar.orgを眺めていただくだけでもOKなのです。(続く)


大乗OSSシリーズはまだまだ続きます。次は、他力本願の教義を正しく伝えれば伝えるほど、親鸞の子孫が生活に困る中、どう打開して大本願寺を築いたかという歴史的事実から、Seasarファウンデーションの進むべき道を探りましょう。